大企業を楽しく生き抜く

理系OL、日々奮闘中。

2年半前の悔しさをバネに、今を頑張る。

今日は仕事上の課題の参考資料を探しに、国立国会図書館に行ってきました。

学生時代は研究に必要な調べもののため、休日によく足を運んでいました。しかし、社会人になってからはほとんど行くことはありませんでした。もしかしたら初めてかも?というぐらい。

就職してから今まで、休日に仕事の調べものをしたりすることはほとんどありませんでした。
しかし、私が今取り組んでいる課題は、過去に何回か解決策は見つけられてきたけれど運用には至らなかった、なかなかチャレンジングなもの。それに私が取り組むには、正直今のままでは力量が足りないので、早くなんとかカバーしたい。また、上から降ってくる仕事が多くて課題に取り組む時間があまりとれないので、せっかく確保した時間に会社外でもできることをやっていてはもったいない。というわけで、休日も家でできることに取り組みはじめています。
学生時代は休日にも調べものをしたり、実験の準備をしに少し研究室に行ったりしていたので、それと同じ感覚です。

ところで、今回借りた本のうちの一冊で偶然の発見をしました。
その本のある一章を、たまたま私が卒業した学科の先生が執筆していたので、懐かしい気持ちでその章から読み進めました。
章の最後に参考文献リストがあり、本文中の気になったグラフの引用元を確認してみたところ、なんとその先生の研究室に所属していた私の友人が修士時代に書いた論文だったのです。

すごい、と思うより先に、うらやましい、と思いました。
彼女が論文を書いていることはなんとなく知っていましたが、こうやって専門書に引用されるほどだなんて。

私も論文を出したかったのですが、掲載までこぎつけることができませんでした。

もともと研究するからには論文を書きたい、と思っていました。自分の名前の載った論文が検索サイトで引っかかるのが見たい、いつかどこかで誰かが参考にしてくれたら嬉しい、そんな期待をもっていました。
ただ、そんなに大した研究はできていなかったし、研究室の修士の先輩で論文を書いている人はいなかったので、実現できない気がしながら研究生活を過ごしていました。

ところが修士2年の秋、先生と2人で実験結果のディスカッションをしているとき、先生が突然「このあたりで一度論文にまとめてみるといいかもね」と言ったのです。

チャンスだ!と思いました。このチャンスを逃してはいけない。今答えを曖昧にしたら、きっとこの話は流れてしまう。
そう思った私は「ぜひ論文にしたいです。自分で一通り書いてみます。書き上がったら読んでいただけますか?」と聞きました。かなり食い気味だったと思います。
「そうだね、出来上がったら見せて」という返事をもらえたので、そこから1ヶ月ほどで論文を書き上げて先生に提出しました。まだ卒業までは半年弱あるので、ここから添削してもらい、書き直して提出すれば、卒業までにはなんとか形になるのではないか、と思って。

しかし、そこから添削はまったくもって返ってこない。
先生が他の大学業務やその他のもろもろで忙しすぎて、見ている時間がなかったようです。先生の部屋に実験結果を見せに行くたびに「なかなか返せなくてごめん、来週中ぐらいにはなんとか」という言葉を聞くことになりました。
結局返してもらえたのは3月に入ってからでした。卒業旅行から帰ってきて、もはや自分の席がなくなった研究室に行って最後の仕上げをし、なんとか投稿して卒業したのでした。

論文というのは、投稿したからといってすぐに掲載されるわけではありません。
編集サイドが審査した上で、たいていの場合はダメ出しが入ります。そこでデータを追加して書き直したり、なんとか言い訳したりします。
やり取りを繰り返して、編集サイドが納得してくれた時点で採用が決まります。

私はもう就職するわけなので、このダメ出しは先生に連絡してもらえるよう、投稿の際に書いておきました。そのため詳細はわからないのですが、きっと何らかのコメントが先生のところに届いていたのだと思います。

論文を投稿しておよそ1年後、編集部から先生宛のメールが私のもとにもCCで届きました。「審査後の返信が長期間頂けていないので、ここで打ち切って良いかどうか連絡をください」といった内容でした。

こうして、私が書いた論文はなかったことになりました。

そんなことを思い出して、今更悔しさが込み上げてきました。
私は夢が叶うチャンスを掴んだし、努力もした。でも、それ以外の要因で達成できない、理不尽なことってあるんだ、と。
先生を恨んでいるわけではありません。大学教授がこんなに忙しい職業でなければ、と思います。教授の本分って研究じゃないの?

考えれば考えるほど、悔しい。あー悔しい。

とはいえ、いまさらどうにもなりません。
今の私にできるのは、この悔しさをバネに、仕事の課題を一生懸命やること。
論文は書けなくても、会社で爪痕を残したい。そのためにはやっぱり全力で取り組まなければ!と思った、そんなできごとでした。