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食の危険を避けるには?『「食の安全」心配御無用!』渡辺宏

私の夢のひとつに、「食に関する情報提供ができるようになりたい」というのがあります。
食について学んだ経験があるとはいえ、まだまだ知識不足です。そこで、最近また勉強を再開しました。
食の安全や健康情報など、様々な書籍を読んでいます。ここでは、まず1冊目に読んだ本をご紹介します。

「心配御無用!」なんて言い切ってしまっていいの?と心配になるタイトルですが、著者の立場は

なくてすませられるなら、そのほうがいいというのが、私の意見です。とはいえ、食品添加物と聞けば、すぐに猛毒であるかのように騒ぎ立てるのも、間違いなのです。

という、冷静かつ中立な立場です。

著者は生協で商品の仕入れ担当を経験してきた方で、生産者と消費者の両方の目線をもっていることがこの本からもよくわかります。

この本には、食について世間で安心・不安とか、健康に良い・悪いなどと言われている様々なことがらを取り上げています。
たとえば

食品添加物
・中国産野菜
遺伝子組み換え食品
・自然食品
天然酵母
・白砂糖
・自然塩
低脂肪乳

などなど、これを読めば日常のあらゆる疑問は解決されるのでは?というラインナップです。

この中で私が最も興味を持っているのは、食品添加物。この本でも第1章に紹介されています。
この本から、食品のリスク、特に食品添加物のリスクは以下の2点をきちんと考える必要があると学びました。

1. 成分自体の危険性ではなく、摂取量を考慮して影響を考える

「○○には毒性がある」なんて言い方をよくされます。その根拠の多くは動物実験から得られた知見ですが、動物実験では毒性が出るまで大量摂取させるため、毒性が出るのは当たり前のこと。ではどれぐらい食べたら毒性が出たの?というところまで考える必要があります。

本書では、一度に食べると半数が死亡する量である「半数致死量」を、保存料のソルビン酸とその他の食品成分や薬の有効成分と比較しています。その結果からは、ソルビン酸だけを取り上げて騒ぐことのバカバカしさがわかります。

食品添加物にはADI(一日摂取許容量)という基準値が決められています。これは、動物実験によって調べられた「これ以下だと健康に影響が出ない」量に、100倍の安全率(動物の種が違うことによる安全率が10倍、年齢や個人差を考慮した安全率が10倍)をかけて決めた値です。ソルビン酸について実際の摂取量を調査すると、ADIのさらに数%しか摂取していないという値であり、これが健康に悪影響を及ぼすとは考えられません。

ただし成分によっては、食品添加物として使われるだけでなく食品の中にも含まれているため、トータルの摂取量が高くなる可能性のあるものもあります。
本書では、硝酸イオンがその一例として紹介されています。食品添加物の摂取量の調査結果(平成12年)を見てみると、硝酸塩の摂取量はいずれの年代でもADIを超えており、特に1~6歳では2倍近く摂取していることがわかります。

www.mhlw.go.jp

調査結果の報告にも、硝酸塩の多くは野菜由来であり、これまでの食経験や野菜の有用性を合わせて考えると問題はないということが書かれています。

栄養のことを考えると「硝酸塩をとりたくないから野菜を食べない」というわけにはいきません。そのことを考えると、添加物の摂取量をできるだけ減らしたいとも思います。

いずれにしても、リスクの判断は基準値に対してどれぐらい摂取しているかを考えた上でする必要があると思いました。

2. 添加物を利用するメリットとリスクを天秤にかけて考える

たとえば、保存料を利用することで食品を長持ちさせることができます。反対に保存料がなければ、流通や家庭での保管の間に菌が繁殖し、食中毒のリスクが高まります。

保存料のリスクは、1. で述べたようにほぼ無視できるレベルと考えられます。実際、食品添加物で体調を害したという人は聞いたことがありません。
しかし、食中毒は毎年必ず犠牲者が出ています。「食べ物に関する危険のうち、もっとも重大なものである」と本書でも述べられています。
このことから、適切に保存料を使用することは必要なことだと考えられます。

ただし、食品製造時に衛生管理をしっかり行い、さらに冷蔵流通を完備させることで食中毒を防ぐことができれば、保存料は必要ないと述べられています。
これに加えて、包装方法を真空にするなど工夫することで、さらに菌の繁殖は抑えられると思いました。
それでも、「コストが上がると買われなくなる」「腐ると消費者からクレームがつく」などという理由で添加物を入れたい気持ちも、メーカーの人間としては分かります…。

食品添加物を使われる理由として、本書で挙げられているのは次の4点です。

・製造上、どうしても必要である(豆腐を固める硫酸カルシウムなど)
・商品価値を高める(色をきれいにするための着色料など)
・流通過程でのロスや事故を無くす(上記の保存料など)
・製造コストを下げる(甘味料、香料、化学調味料など)

 要するに、「見た目が良くて美味しくて長持ちして安くて無添加」な食品は不可能ということです。
何を重視して、どのリスクはとるのか。そのリスクを抑えるためにどんな手がとれるか。生産者と消費者、両方が対策を行うことが必要だと感じました。

食の安全を自分の目で判断するために

本書の最後には、食の安全を自分で判断するためにどうしたらよいか、3つの項目が載っています。
そのうち、2番目の「かたよらない」ことが大事というのは、食の安全だけでなく栄養面からも言えることです。さまざまな食品を口にすることで、さまざまな栄養素を摂取することができ、リスクの分散もできるのだと思いました。
とかく「○○が健康によい」などと、単一の食品をもてはやす傾向にありますが、食生活の基本はいろいろなものをバランスよく、だと再度認識することができました。